構成文化財の名称 | 菊池川流域の弥生時代の大集落遺跡群 |
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指定等の状況 | 国史跡 ほか |
ストーリーの中の位置づけ | 盛んに米作りが行われ、大規模な集落が菊池川流域各地に営まれた。遺跡からは米作りを示す道具、特に鉄器が数多く発掘されている。 |
文化財の所在 | TAMANA、YAMAGA、KIKUCHI、NAGOMI |
箇所が特定できない文化財については、大まかな位置を示しています。
構成文化財の名称 | 概要 |
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年の神遺跡 | 年の神遺跡は、菊池川右岸の玉名台地上に広がる遺跡です。昭和28年、JR鹿児島本線歳神踏切南側の藪の中で、熊本県立玉名高等学校考古学部による発掘調査が実施され、支石墓や甕棺片が発見されました。支石墓は、長崎県や佐賀県を中心に、九州西側に分布する縄文時代晩期から弥生時代中期の墓で、稲作の伝来とともに大陸から伝わったと考えられています。昭和43年の農地造成中には緊急調査が実施され、長さ 4mの巨石下から大小の甕棺が出土し、そのうちの大型甕棺内から成人男性人骨と共に7点のゴホウラ貝製腕輪が発見されました。また、令和4年に実施された発掘調査では、竪穴建物跡が発見され、墓域だけでなく年の神遺跡の生活域も初めて発見されました。令和4年の発掘調査では盛んに交易が行われた状況を示す今山産(福岡市)石斧や石製の権(計量用の分銅)などが出土したほか、立石産(飯塚市)石包丁も発見されました。年の神遺跡の北側は小河川が流れる低湿地があり、石包丁が出土したことから、今後稲作に関連するような遺跡が発見されるかもしれません。 |
塚原遺跡 | 菊池川右岸の玉名台地上に位置する塚原遺跡は、市道岱明(たいめい)玉名線道路改良事業に伴い平成22年から平成23年と平成24年から平成25年に発掘調査を実施しました。発掘調査では弥生時代中期・後期および古墳時代前期の竪穴建物跡と弥生時代中期の甕棺墓や古墳時代中期の古墳が発見されました。弥生時代の竪穴建物跡は発掘調査を実施した調査区北側に集中しますが、古墳時代なると、竪穴建物跡は調査区北側には見られず、調査区南側に集中します。また古墳時代中期になると竪穴建物跡は姿を消し、代わりに古墳が出現します。このように時代によって当時の人々が塚原遺跡に対するかかわり方の変化していく様子がよくわかる遺跡です。 調査では古墳の墳丘は確認されていませんが、「塚原」の地名が残っていることを考えると、地名が形成された当時は古墳が並んだ様子がまだよくわかる状態だったことがうかがえます。また、発掘調査では古墳時代中期の墓坑から鉄製の穂積具が1点みつかっています。塚原遺跡全体として考えると少ないですが、近隣の遺跡から出土している石包丁などの出土状況を考えると、稲作で築いた富の蓄積が古墳築造の原動力となったと容易に想像することができます。 |
木船西遺跡 | 菊池川右岸における玉名台地上の南西部に位置する木船西遺跡は、市道岱明(たいめい)玉名線道路改良事業に伴い平成23年から平成24年の2か年かけて発掘調査が実施されました。発掘調査では多くの竪穴建物跡が発見され、そこから土器、鉄器、ガラス製小玉並びに石製玉類などが出土しました。出土品の中には中国で作られた鏡の破鏡(人為的に割った鏡)3点も出土しており、木船西遺跡で生活していた人たちと中国との間で交流が行われていた状況を考えることとができます。また、このほかにも石包丁や鉄製の穂積具が出土しており、集落の周辺で稲作が行われていたと考えれます。 木船西遺跡周辺には大原遺跡や塚原遺跡など弥生時代の集落遺跡と隣接しており、木船西遺跡を含むこの周辺一帯が、弥生時代中期から古墳時代初頭にかけて多くの人で賑わい、その人たちの生活を稲作が支えていたと考えられます。 |
方保田東原遺跡 | 全国的に米作りが行われるようになった弥生時代に、菊池川流域では水の引きやすい川沿いの平坦な場所で米が作られ、その後鉄製の道具を使い生産性を上げていきました。その結果、流域には巨大な集落が各地で営まれました。 山鹿市東部の菊池川に北接する方保田(かとうだ)台地に広がる今から約1700~1900年前の遺跡です。遺跡の範囲は約35ヘクタールと広大で、東京ドーム7.5個分にあたります。 それまでの発掘調査により、大量の土器をはじめ出土例の少ない貴重な遺物が多く出土したことから、昭和60年に「中九州における弥生時代の拠点的な集落遺跡」として国の史跡に指定されました。加えて、土器・土製品452点、金属製品371点、石器・石製品54点、貝輪2点、ガラス玉96点の合計952点が、平成29年に国の重要文化財(考古資料)に指定されています。 遺跡は芝生公園となっており、出土文化財管理センターが併設されています。出土品のうち主だったものは山鹿市立博物館で、それ以外を出土文化財管理センターで収蔵、展示しています。 毎年、地域の子どもたちらが遺跡の畑にひまわりを植えており、見ごろを迎える7月半ばごろにクイズラリーイベントを開催しています。 |